多くのメディアで取り上げられている「宇崎ちゃんポスター」、日本赤十字社にとって成功だったのでしょうか? それとも失敗だったのでしょうか?
真相は日本赤十字社でないと分からないと思いますが、第三者視点で客観的に考えてみました。
色々なところで議論され、炎上している話題です。様々な意見がある状態で、白黒はっきりとした正解がある訳でもありません。これから記載することは、一個人の見解として捉えてください。
ポスターでPRする目的
宇崎ちゃんは献血のポスターとして使われた訳ですが、目的は集客であったことは明確かと思います。
日本赤十字社から見ると、「献血者数を多く集めたい」と考えているのは自明ですよね。
輸血に使う血液が十分確保できていればいいのですが、血液中には生きた細胞が含まれているので、長期保存ができません。
採血後の保存可能期間は、以下のようになります。
- 血小板:4日間
- 赤血球:21日間
- 血漿:1年間(冷凍保存)
絶えず新しい血液をストックしておく必要があり、余剰となるようなことはないとのことです。
しかも、今後日本は少子高齢化となり、輸血が必要な人は増えてくるけど献血できる人は減ってくる状況です。
事実、献血者数は、ジワジワと減ってきています。日本赤十字社が公開しているグラフを以下に借用します。
献血者数で年々増えているのは、50~59歳と、60~69歳のみ。他の世代は減っています。
これが事実なんですよね。輸血が必要となる確率が増える高年齢者に対し、同世代が献血している状況です。
若い世代の献血者数を増やすための手段として
日本赤十字社としては、若い世代の献血者を増やしたいと考えているのは、上記のグラフからも明らかです。
若い世代への献血参加PRとして宇崎ちゃんを採用したと仮説立てると、それが成功であったか失敗であったかは、少なくとも今回騒ぎになっているときの献血者数、それに、ある程度先までの結果を見ないと判断できないと思います。
宇崎ちゃんポスターについては賛否両論ですが、日本赤十字社にとって目的達成となれば、成功であったと言えます。
では、若い世代への献血参加PRとして、宇崎ちゃんは最適だったのでしょうか?
通常、献血などのイベントへの集客目的としては、人気アイドルや人気キャラクターが使われる場合が多いです。
献血への呼びかけ効果を期待する場合、宇崎ちゃん以上に効力を持つキャラクターが存在しているはずです。
巨乳キャラを使うことで注目を狙ったという見解が一般的ですが、巨乳キャラで若い世代が魅かれて献血にやってくるでしょうか?
巨乳で集客するのだったら、グラビアアイドルを使った方が、効果が得られるのではないでしょうか?
本当の理由は、炎上マーケティングでは
以上のように、「巨乳キャラで集客する」という戦略について、個人的には懐疑的です。もう1歩踏み込んだ戦略があったのではないかと考えています。
今世の中で何が起きていますでしょうか? 宇崎ちゃんポスターについて、賛否両論の炎上が至る所で起きています。
良し悪しは置いておいて、少なくとも「日本赤十字社が献血をPRしている」という事実は、多くの人に知れ渡ることになりました。
個人的に感じたのは、日本赤十字社は初めからこのような事態になることを想定して、宇崎ちゃんを使ったのではないかということです。
日本赤十字社という医療に関わる固い企業が巨乳キャラを使ったPRをすると、少なからず反発があることなんて、やる前から明らかだと思います。
実際に、過度な性的表現、女性差別、表現の自由といった「正解が出ない議論」が至るところで行われています。
もし「宇崎ちゃんポスターが献血PRにとって不適切」といった意見が大多数だった場合、日本赤十字社のダメージも大きいことでしょう。
でも、これだけ議論されても白黒はっきりしないということは、正解は無いはずです。ある人が見れば過度な性的表現になるし、また違った人が見れば表現の自由として問題ないということになるはずです。
その結果、良し悪しははっきりしない状態で、「日本赤十字社が献血をPRしている」ことを多くの人に周知できた状態となっています。
このように、あえて炎上させることを狙った炎上マーケティングという戦略がありますが、日本赤十字社の広報担当は、ここを狙ったのではないでしょうか?
炎上マーケティングは失敗してネガティブ要素が強くなるとダメージが大きいので、良いか悪いかの正解がない議題で炎上させることがポイントとなっています。
もし本当に日本赤十字社がこれを狙っていてやったことなら、かなりやり手の担当がいたことになります。
数年後でいいので、結果が出たら真相はどうであったのか、聞いてみたいものです。