ヘルマンゆ吉の、ちょっとタメになる情報

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梅酒をつくるための知識。酒税法のルールや梅酒ができる原理を知っていますか?


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毎年この時期になると、梅酒や梅シロップを作っています。

簡単にできて季節感を味わうことができる梅酒や梅シロップ、多くの人がこの時期になると作っているかと思います。

作り方については多くのサイトで紹介されていますので、この記事では簡単な内容にしておきます。

今回は梅酒に関連するトピックとして、酒税法のルールや梅酒のできる原理について、まとめてみたいと思います。

きっと普段意識していない人の方が多いことでしょう。

梅酒や梅シロップを作るのには直接関係のない話となりますが、よろしければ参考情報として読んでみてください。


梅酒と梅シロップの作り方

色々なサイトで紹介されているので、今更あらためて説明するような内容ではないです。

私はいつも、以下の手順で作っています。

  • 新鮮な生梅を入手する
  • 保管ビンを煮沸消毒する
  • 生梅を水で丁寧に洗い、水気をふき取る
  • 竹串でヘタを取る
  • 梅酒や梅シロップを漬ける
  • しばらく保管して完成

次のことを注意しています。

新鮮な生梅を使う

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なるべく鮮度のいい高品質な生梅を使う

梅酒や梅シロップを作るとき、生梅の品質と鮮度によって結果に差が出ます。たっぷりと梅エキスを抽出したい場合、使用する生梅には拘った方がいいです。

私は、収穫から24時間以内くらいを目安に仕込むようにしていますので、流通過程で時間がかかる、スーパーで販売されているような生梅は使いません。

信頼できる梅園から、直接購入しています。いつも購入している梅園は、小田原曽我梅林にある昇珠園です。

保管ビンを滅菌する

口に入れる飲み物なので、衛生面は注意したいです。

アルコール消毒とかの方法もあるでしょうが、私は沸騰したお湯を使い、保管ビンを煮沸消毒しています。

金属に触れない

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金属に触れないように注意

生梅と金属は、非常に相性が悪いです。梅の酸で金属が侵食されたり、溶けた金属で梅の味が損なったり、梅の加工に金属を使うとトラブルが多いです。

ヘタを取るときには、竹串を使っています。金属の串やフォークなどは使わないようにしています。

本当は、生梅を洗うボウルなんかもプラスチック製の方がいいんでしょうが、短時間入れるだけなのでステンレス製を使っています。

氷砂糖を使う

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梅酒を漬けるときには、必ず氷砂糖で

この後に理由を説明しますが、梅酒を漬ける場合、ゆっくりと溶ける砂糖じゃないとうまくできません。

漬けはじめてしばらくの間、糖分濃度を高くすると失敗してしまいます。そのため、溶けにくい氷砂糖を使います。間違っても、グラニュー糖なんかを使ってはダメです。

梅シロップは発酵に気を付ける

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底に入っているのは、お酢です

梅シロップを作っているとき、どうしても発酵してしまいがちです。少量の酢を入れることで、発酵を抑えることができます。

発酵を抑えるために、生梅を冷凍させて繊維を壊すことで調理期間を短くしたり、冷蔵庫保管したりして工夫している人も多いです。

このような方法は豊かな梅の香りを得ることとのトレードオフなので、私は実施していません。

レシピ

特に珍しいことはやっていませんが、レシピをまとめておきます。

梅酒を漬けるアルコールは、ブランデーやホワイトリカーを選ぶ人もいるでしょう。梅シロップを漬ける砂糖は、氷砂糖じゃなくても、砂糖なら何でもOKです。

梅酒は、絶対に氷砂糖ですよ。

梅酒

  • 生梅 1kg
  • 氷砂糖 700g
  • ウイスキー 1.8L

梅シロップ

  • 生梅 1kg
  • 氷砂糖 1kg
  • 酢 100ml

あとは、完成するのを楽しみに、しばらく放置しておきます。完成したら、またブログで報告しますね。

梅酒を作ることは、合法なのか違法なのか?

結論を先に書くと、合法なので安心してください。

ただ、何をやってもOKな訳ではなく、一定のルールがあります。ポイントは3点あります。

  • アルコール度数が20度以上のお酒で作る
  • 禁止されているものを漬けない
  • 完成した梅酒は家庭内で消費し、販売しない

国税庁の説明がありますので、ご確認ください。

アルコール度数が20度未満のお酒で作ると、酵母菌が活動できる状態なので発酵が進んで、漬け込んだお酒以上のアルコール度数となる場合があるみたいです。これは完全に醸造なのでNGな訳ですね。

アルコール度数が20度以上だと、酵母菌が活動できず、漬け込んだお酒以上のアルコール度数になることはないようです。

日本酒で漬けた梅酒が販売されていますが、これを自分で作ると違法ですね。

梅酒ではありませんが、同じように果実酒を作る人もいるかと思います。その際、ぶどうや山ぶどうを漬けると違法となります。これはワインの醸造につながってしまうのでNGなんでしょうね。

同様の理由で、米や麦を漬けることも禁止されています。日本酒やビールの醸造と見なされる訳ですね。

梅エキスは浸透圧で染み出してくる

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以下の図では、この凡例で説明します。

続いて、梅酒ができる原理について、説明したいと思います。

ここを読むと、なぜグラニュー糖はダメで氷砂糖を使わないといけないかが理解できますよ。

梅酒を完成させるには、お酒の中に梅エキスを抽出して、梅の風味をしっかりと出すことが重要ですよね。

梅エキスの抽出には、浸透圧という現象を利用します。昔勉強して、なんとなく言葉だけは知っている人もいるのではないでしょうか。

簡単に説明すると、濃度が異なる液体が半透膜で接しているとき、濃度が一定になるように水分が半透膜を行き来する現象です。

梅酒を作るとき、この浸透圧の現象を2回使うことになります。この2回というのがポイントとなります。

Step1 生梅の中に水分を取り込んで梅エキスを溶かす

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まず、周囲から水分を取り込む

梅酒を漬けたばかりの頃は、まだ氷砂糖が溶けていない状態です。

このとき、生梅の中身の方が、周囲より糖度が高い状態となっています。そのため、生梅の中身の糖度を薄めて、周囲と均一にしようとする働きが生じます。

生梅の表皮が半透膜となり、周囲から生梅に対して水分子やアルコール分子が移動してくることになります。

このため、Step1では生梅から梅エキスは出ません。逆に、周囲から水分を取り込むことで、生梅がパンパンに膨れ上がる状態となります。

梅酒を漬けたあと、生梅の状態をよく観察してみてください。いきなりしぼんでくるのではなく、まず最初は膨れ上がる様子が確認できるはずです。

ここでは、周囲から多くの水分を取り込むことが重要となります。

梅エキスは分子が大きくて、そのままでは生梅の表皮から周囲に滲み出ていくことができません。

そのため、まず水分を取り込み、梅エキスの分子を溶かして小さくさせるプロセスを踏まないと、完成したときに梅の香りがいまいちとなってしまいます。

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取り込んだ水分で、梅エキス分子を溶かす

Step2 生梅の中から溶けた梅エキスを取り出す

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梅エキスが滲み出てくる

しばらく時間が経つと、氷砂糖が溶けてきて、生梅の中身よりも周囲の方の糖度が高くなります。

すると、今度は逆方向となり、生梅の中身から、水分子やアルコール分子が移動します。

このとき、すでに梅エキスが溶けているので、梅の香りをたっぷりと含んだ水分が滲み出てくることになります。

梅酒を作ったことある人は、最後には生梅がしぼんでシワシワになる様子を知っていると思います。私は、その段階で完成としています。

更に何年も漬け込み、生梅の種からも香りを出すという人もいますが、個人的にはそこまでやらなくても、果肉から梅エキスを絞り出せれば十分だと考えています。

グラニュー糖を使うと失敗する理由

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梅エキスは生梅の中に入ったまま

梅酒を漬けるとき、グラニュー糖ではダメで氷砂糖が必要な理由がご理解いただけましたでしょうか?

もし、グラニュー糖を使った場合、どのような結果になるか考えてみましょう。

梅酒を漬けてすぐにグラニュー糖が溶けた状態となるので、生梅の中身より周囲の糖度が高い状態となります。

そのため、生梅の中から水分子が滲み出て、やがて生梅がしぼんでシワシワになって終了です。

最後の状態は同じなのですが、途中のプロセスがまったく異なっています。

この場合、生梅の中にあった梅エキスは溶けておらず、表皮から周囲に染み出すことができません。生梅の中の水分だけが染み出た状態なので、梅の香りはほとんどしない状態での完成となってしまいます。

終わりに

今回は、梅酒に関するトピックを2つまとめてみました。

梅酒を作るとき、このようなことも意識して作ると、ちょっと見方が変わってくるかもしれませんね。

もうしばらくの間、生梅は販売されていると思うので、季節ものとして、みなさんも梅酒や梅シロップを作ってみてはいかがでしょうか。

 

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