ふるさと納税は、毎年1月~12月の間に納税した金額で、控除額が計算されます。
そのため、この時期になると、そろそろふるさと納税を終わらせようと、駆け込み需要が高まってきます。
ふるさと納税を行う上で必ず課題となるのは、「上限がいくらであるのか」といった計算です。
とても重要な内容なのですが、正確に説明しているサイトは少ないです。
総務省のサイトでも説明されていますが、分かりにくいです。
ふるさと納税のポータルサイトでは納税上限額をシミュレーションできるようになっていますが、目安であって正確ではありません。
正確な納税上限額は簡単に計算できますので、説明したいと思います。
ふるさと納税上限額の計算式
まず結論から先に説明すると、以下で計算できます。
住民税所得割額 × 0.2 ÷(0.9-所得税率×1.021)+ 2,000
ここで必要となるのは、①住民税所得割額と②所得税率です。それぞれ、以下のようにして算出します。
以下では、サラリーマンの場合をサンプルに説明します。自営業の場合は、確定申告の内容を参考にそれぞれの金額を確認してください。
①住民税所得割額
サラリーマンの場合、毎年5月~6月頃、住民税の通知書が配布されます。
住民税は市町村と道府県に分かれており、所得割額は2か所に記録されています。この2つを足したものが、住民税所得割額となります。
前年にふるさと納税を行っている場合、摘要欄に寄附金税額控除額が記載されています。こちらも、市町村と道府県に分かれて2つの記載となっています。
この記載がある場合には、追加してください。
前年にふるさと納税を行っていない場合
所得割額2か所に記入されている金額の合計
前年にふるさと納税を行っている場合
所得割額2か所に記入されている金額と、摘要欄に寄附金税額控除額として記載されている金額の合計
②所得税率
国税庁のサイトで、所得税について説明されています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
「課税される所得金額」は、サラリーマンの場合は、給与収入から給与所得控除と所得控除を引いた額となります。
さきほどの住民税通知書にも、記載されています。
課税される所得金額が500万円だった場合、所得税率は20%となります。
終わりに
以上のように、住民税所得割額と所得税率が計算できれば、ふるさと納税の上限額が計算できます。
だたし、ふるさと納税として住民税から控除されるのは、翌年の住民税であることに注意してください。まだ未確定な状態な訳です。
収入が前年度から大きく変化した場合や、法改正によって住民税率が大きく変化したような場合には、本年の内容を基に計算した結果と、翌年の実態がずれる場合があります。
また、医療費控除やiDeCo(個人型確定拠出年金)で控除申請する場合なども、住民税所得割と所得税率に影響してきます。
税金控除の対象がたくさんあるので、ふるさと納税の上限額に影響してくるケースは多々ありますが、複雑に考える必要はありません。
ふるさと納税の上限額に影響してくる要素は①住民税所得割額と②所得税率の2つとなりますので、これらを正確に把握すればいいだけです。
このように、ポイントを押さえれば、ふるさと納税の上限額は簡単に計算できます。
しかし、総務省のサイトを初め、ふるさと納税ポータルサイトの説明を見ても、このように明確な説明とはなっていないんですよね。
上限額のシミュレーションや一覧表による説明ばかりとなっていますが、以下の式を説明してくれるだけでいいんですけどね。
住民税所得割額 × 0.2 ÷(0.9-所得税率×1.021)+ 2,000